2008年8月4日から、期間限定(9月1日11時まで)ではあるが、mixiがインディーズ機能として、ミニブログサービス「エコー」の提供を開始した。
満を持しての登場、と見るか、押っ取り刀、と見るか。
今年の5月、既に「(時期は未定だが、今後)ユーザー同士のマッチング機能強化を予定している」と、5月の決算発表会見で笠原社長が言明したらしいので、予定には入っていたものと思われる。しかし「インディーズ版」と言っているだけに「mixiの目的を実現するための機能」しか実装されておらず、ユーザビリティは今ひとつである。この「今ひとつ」さが「wassr登場で焦ったか?」という疑念を差し挟む余地だったりする。
mixiがTwitter含め、ミニブログを競合として脅威に感じるとは思わないが。
さて、mixiが本来であれば、「”特定多数”とのちょっと濃いコミュニケーションの場」であるSNSに、全く相反する「”不特定多数”とのゆるいコミュニケーション」たるミニブログ機能を搭載するに至った本当の目的はなんだろうか。
5月の決算発表会見記事を読めば、「ユーザー同士のマッチング強化策の一つ」だということはわかるのだが、では何故、mixiが会員同士の「出会い」を積極的にサポートしないといけないのだろうか。結婚相談サービスでも始めたか?
冗談はさておき、背景として、アカウント数(あえて会員数とは言わない)が1500万を突破し、今後は頭打ちになっていくであろうこと、PVこそPC版、モバイル版を合算すると月間100億PVを超えるが、アクティブ率が低下しつつあるという、メディアバリューに関わる深刻な問題を抱えていることがあるだろう。
有料サービスを展開しているとはいえ、まだまだ売上の85%を広告収入が占めている状態である。広告媒体としてのメディアバリューの変化は、収益を大きく左右する。
したがって、アクティブ率向上とPV増加は、mixiにとって永遠かつ火急の課題なのである。
さて、アクティブ率を上げる方法は「ソサエティ内でのコミュニケーションの濃度を上げる」ことである。言い換えると、「会員にとって、より重要な、他者とのコミュニケーションの場となる」ことである。
mixiがサイト内でコミュニケーションの濃度をあげる方法として、「友達(マイミク)の輪」を広げさせるという手法がある。
そのために試験的に搭載されたのが「エコー」であろう。
「エコー」は、自分のトップページからは、「マイミク」の発言しか見えないようになっているが、レス機能を使用することによって「それが誰に向けてのコメントなのか」が分かるようになっている。加えて、レスをされている相手へのリンクをクリックすることで、相手がマイミクではなくても(とはいえ、マイミクのマイミク、なのだが)、その人の「関連コメント」を読むことができる。
一見、「隣のテーブルの会話を半分だけ強制的に聞かされる気持ち悪さ」を解消するためのようなこの機能であるが、実は「足あとを増やす」ための機能に他ならない。
マイミクが知らない会員と会話をしている。内容が気になるけれど、半分しか分からない。気になるので、相手の会話を見る。足あとが残る。相手から踏み返される。
こういうことを繰り返していくうちに、マイミクのマイミクが、いつのまにかマイミクになる。
ソーシャル・ネットワーク・サービスなどと気取っているが、そもそも「出会い系」である。「知り合いの知り合い」という気安さから、「エコー」を通じた「マイミク申請」は、コミュニティなどを通じて行う場合よりも心理的なハードルは低いであろう。
マイミクが増えれば、その人に取って「コミュニケーションの場」としてのmixiの価値は増大する。それはつまり、アクティブ率の向上とPVの増加を意味し、mixiの広告媒体としてのバリューアップにつながるのである。
と、ここまでが私が「勝手に」想像した、「エコー」登場の青写真である。
で、実際、そう上手くいくのだろうか。
mixiとミニブログの違いは「コミュニケーションの濃度」にある。ミニブログは「思いつきの垂れ流し」だが、mixiは「自分(マイミク)の考えていることや生活感を伝える(感じる)場」だったりする。
「エコー」が成功しすぎてしまうと、ユーザーは「日記」を書くゆとりも必要性も無くなり、mixiはSNSからただの「ミニブログ」に成り下がる。それは、「エコー」ヘビーユーザーにとって「mixiでないといけない必要性が無くなる」ということでもある。
「エコー」機能をあまり使わないユーザーにとっても、自分のマイミクが「エコー」に流れ、日記の更新頻度が落ちれば、mixiを覗く必然性が薄れ、アクティブ率は下がる。
SNSにとって、ミニブログは諸刃の剣ではないか。
インディーズ版としての「エコー」は、9月1日までの限定サービスである。SNSとミニブログの相性という、mixiの実験の結果がわかるのは、来年頭かもしれない。
以下、「mixiに関するオマケデータ」なので、興味のある方はどうぞ。
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