宮沢元首相 逝去
宮沢喜一元首相がお亡くなりになった。87歳。大往生だ。
そして、歴史の生き証人が、また一人消えた。
第二次世界大戦前の、国が狂っていく空気と、戦時中の恐怖と混乱と、戦後の屈辱と困難を血肉で経験した、貴重な生き証人が。
後藤田正晴氏も、竹下登氏も、白州次朗氏も、当の昔に鬼籍入りしている。
彼らが必死で伝えようとした、戦争の悲惨さは、愚かさは、今の世代の政治家達にちゃんと伝わっただろうか。
戦中・戦後を体験した政治家達は、確かにまだ現役で残っている。だが、子ども時代に体験した人たちと、大人として体験した人たちでは、その重さや意味の重大さの理解度が大きく異なる。
宮沢元首相は、政治力は無かったと評されることが多いようだが、後藤田氏と同じく、筋を通そうとした数少ない政治家の一人であったと、私は思っている。
野中広務氏は、政界は引退したものの、未だ現役で政治家への提言や、大学で教鞭を取っている。しかし、御年82歳である。彼に残された時間は、そう多くはないだろう。
2005年7月、「下山事件 最後の証言」という本が出版された。昭和史に残る難事件「下山事件」について、関係者の身内であったジャーナリストが記した本だ。
この本も、関係者が全員鬼籍に入ったから、出版できた。
体験に基づく証言は何よりも強い。そして、証言できる人は、どんどん少なくなっている。
今が、ラストチャンスかもしれない。
体験者は、その体験を何でもいい、どんな方法でもいい発信して欲しい。
ジャーナリストは、彼らが生きている間に、貴重な証言を記録しておいて欲しい。
私は、アンチ自民ではあるが、自民党に所属する政治家全員が嫌いなわけではない。ただ単に、マジョリティが嫌いなだけだ。マジョリティの中に混ざってしまうと、思考が停止する。自分で見たもの、聞いたものを自分の中で必死に考えて、あるはずの無い答えを探してもがくより、右に倣えしておいたほうが楽に決まっている。その、右に倣えの集団が、結局マジョリティだ。
だから、私はマジョリティが嫌いだ。
宮沢氏は、自民党議員ではあったが、筋の通った、尊敬できる政治家だった。
彼が伝えようとした遺産が、きちんと、脈々と、誰かに受け継がれますように。
ご冥福を心よりお祈り申し上げます。


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